謎ジャムを作ろう!





このページの「その他」を見て、これを期待していた人も多いのではなかろうか。

『オレンジ色の悪夢』『邪なる夢』『異世界の高位魔族』etc….

様々な呼び名があるが、(多分)未だかつて誰も踏み込んだ事の無い未知の領域。

そう…謎ジャム

これの制作についてはかねてから当方も計画していた。が、謎ジャムに関する情報の少なさと予算がネックになって

実行には至らないでいた。

けれども、友人達の心優しき協力により、何とか計画のメドが立ったのだ!

これから、謎ジャム作成及び試食の戦慄のレポートをお送りする。





まず、ここで謎ジャムに関する情報を整理しておく。

「KANON」のテキストから解る事は以下の5つ。



1.外見上はジャムである。
2.オレンジ色である。
3.ジャムなのに甘くない。
4.って言うか、独創的な味である。
5.名雪が飛び起き、あゆが叫び、香里が恐れおののく程の味である。



…これだけである。

本編でも祐一が制作者である秋子さんに材料を訊いたが「企業秘密です」の一点張りであった。

これでは話が進まないので、勝手に想像する事にする。



先ず、1の事から、謎ジャムはゲル状であると推測できる。

となれば必要なのはゲル化材。今回は代表的なゲル化材、ペクチンゼラチンを用意した。

ペクチンは基本的に熱に反応してゲル化し、ゼラチンは冷えるとゲル状になるらしい。

ジャムの制作手順は熱した後冷やすので、両方の効果が期待できる。



2の事から判断できるのは、『少なくとも原料に青い物はない』…ってこと位だろう。

逆に考えれば、材料は全て赤、黄もしくはオレンジ色の食品であろう。



3…これはとても重要。

そもそもジャムとは煮込んだ果物などに大量の砂糖を加え、保存をよくした代物なのである。

当然それは甘くなる。しかし『甘くない』という事は

通常のジャムとは根本的に調理法が違う訳だ。

間違いなく謎ジャムは砂糖を初めとした甘味料を一切使用しない。

あまつさえ果物の類すら使わないのかも知れない。

…恐ろしいぞ、謎ジャム。



4…これも重要。

何が重要なのかと言うと、『味がある』という点だ。

5と併せて考えれば、『甘い』以外の

『辛い』『酸っぱい』『苦い』などが全てごちゃ混ぜになった味、という考えが手っ取り早い。



これらを総合して考えた材料は以下の通りである。

・ ペクチン
・ ゼラチン
・ パプリカ(赤、黄)
・ オレンジ(皮だけ)
・ 唐辛子(鷹の爪)
・ 卵
・ ゆず
・ レモン汁
・ クエン酸
・ 牛乳
・ 鮪



バスターワッフルの際の『サッカリン』のような、切り札的材料こそないものの

全く味が予想できないという意味ではまずまずの選定ではなかろうか。

ちなみに最後の『鮪』は、KANON公式ビジュアルファンブックの一説に

「謎ジャムの材料は鮪では?」というのがあったので、採用した。

これらの材料は全て商店街で購入。

余談だが、その後やはり商店街の店でたい焼きを買い食いした。

みさき先輩も「たい焼きは冬の風物詩だよね」って言ってたし(一応非公式だけど…)。





2月10日、PM12:00。

只今より、『謎ジャム制作作戦』、通称『混沌のゲルニ−ニョ作戦』を決行する!

レンジャー!

我が後ろに道は無し!ただ前へ進むのみ!

レンジャー!

ソロモンよ!私は帰って来れたらいいなぁ!!!!????

レンジャー!(パンドラの夢のノリです。すいません。)





1. パプリカ、オレンジ皮、唐辛子、ゆずをみじん切りにする

鍋とかでじっくり煮込めば溶けてくれると思うのだが、やはり多少は細かくしておいた方がいいだろう。

包丁を左手に構え(実は左利き)、不自然な料理漫画の如く疾風で切り刻む!

…という訳にはいかない。

何せ、包丁を持ったのは小学校の家庭科の時間以来なのである。

タン…タン…タン…と、素人丸出しの音を立ててゆっくり切っていく。

真夜中に妖しげな音が響いていく…。



2. 鍋に牛乳、パプリカ、オレンジ、唐辛子、卵、ゆずを入れて煮込む

「何故牛乳?」と思われるだろうが、これは単なるつなぎである。

ペクチンを初めとするゲル化材は、当然といえば当然だが液体に対して作用する。

という訳でまとまった量の液体を確保する為、たまたま冷蔵庫にあった牛乳を使用した。

「ますます味が物凄くなりそうだから」という打算もある。

とりあえず年頭に入れて欲しいのは、「物凄い味のものを作る」というコンセプトである。

だから須らく(すべからく)キワモノの材料をそろえる。

「そんな事考えなくても…」と言うなかれ。

相手は謎ジャムなのだ。



…で、煮込んだらどうなったか。

非常に表現の難しい所なのだが、とりあえず事実を述べよう。

何かの臭いがした。

「どんな」と訊かれても困る。

何かの臭いなのだ。

不肖ジュドえもんmk2、この世に生を受けて十数年になるが、未だかつてこのような臭いは嗅いだ事がない。

アンモニアの類のように鼻につく訳ではない。だが気持ち悪くなる。

「妙にネットリした、喉の奥に障るような臭い」くらいにしか言えない。

自分の文才のなさに感謝する。こんな恐ろしい臭いを伝えなくて済むのだから。

・ この時点で換気扇発動。



3. 煮込みながらペクチン・ゼラチン・レモン汁・クエン酸を入れる

ペクチンに関しては、「使用する際に少量の砂糖と混ぜておく」との指定があったのでそうしておく。

だが甘くなるといけないので本当にごく少量。0.1gにも満たない。

熱している途中の鍋にいっぺんにぶち込む。

…すると。

おお!固まり始めた!

あちこちにダマができてるが気にしない!
更に臭いがひどくなったが気にしない!


これで第一条件である「ゲル状である」はクリアした訳だ。

…因みに、鮪は今回入れない。

1回目はあくまでテスト。(最も高価な)鮪は2回目にとっておく事にした。



4. さらに煮込む

そのまま数分、(悪臭の漂う中)じっくり煮込んでみる。

…しかし。

しかしである。

ここにきて、2つの重大なミスが出てきた。

第一にオレンジ色じゃない。

むしろ肌色かベージュか卵色の類である。

まあ、よくよく考えれば牛乳という『白色』が多く入っているのだ。

オレンジ+白=オレンジになる筈が無い。

食用色素でごまかすという手もあるが、こういうレポートを書く以上真実を伝える義務がある。





…で、第二のミスだが材料が全然溶けてない。

相変わらず原形を維持したまま鍋に浮かんでいるのである

冷静に考えれば当たり前だ。

煮込んで原形が崩れるのなら日本料理の6割は成立しない。

この程度の事、作る前に気付け。俺。





…とまあ欠陥だらけなのだが、一応完成した事にする。

とりあえず命名『プロト謎ジャムmk1』




写真



写真を見れば分かってくれると思うが、グロい。

これに前人未到の臭いが加わっているのである。

作っといて何だが、食べたくない。

だが、やはり作った以上食べねばなるまい。

指でほんの少しだけすくい、舌の先に軽く乗せ、飲み込む。



























味は…しない。

しないのである。

あまりに少量過ぎた為に、舌が反応してくれなかったらしい。

…だが。

それでも。

しかしもって。

喉の奥に残る、このもったりとした感覚は何?

…分かり辛いと思うので、少したとえ話をさせて貰おう。

喉の奥に指を突っ込むと「ウエッ」ってなる。

あの感覚が、軽度のものではあるが数分間持続した。

イメージが難しいがそんな感じである。

スプーン一杯食べなくて本当に良かった。せめてもの感想であった…。

(プロト謎ジャムmk1は、全て流し台に叩き込みました)










正直言って、もうやめたい。

だが、ここでやめる訳にもいかない。

まだ鮪を使っていないのだ。これでは真の謎ジャムは成立しない。

…まあ、根本から間違ってる可能性もあるので真とは言い切れないのだが。

…という事で、再び一から作り直し。

時刻は午前1時。さっきみたいにレンジャーレンジャー言う気力は既にありません。





1. パプリカ、オレンジ皮、唐辛子、ゆずをミキサーにかける

mk1の失敗に基づき、今度はミキサーにかけて完全に液体にする。

「何故最初からしなかった?」と思うだろうが、音がでかいのだ。

実は台所のすぐ隣に兄の部屋がある。

悪魔合体と見間違えられてもおかしくないこの作業はやはり秘密裏に行ないたいのだ。

しかし、そんなごたくをぬかしている状況ではない。

材料をミキサーの中に入れ、電源を入れる。ポチっとな。

ガーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!

うるせ〜!

流石にこの音には気付き、兄が起きてきてしまった。

兄   「うわっ!何だこの臭い(mk1の名残)、お前何作ってんだ?」

ジュド2「食品だ。多分」

兄   「多分って…」

ジュド2「食品を材料にしてんだから多分食品だ。もうミキサーは終わったからとっとと寝ろ」

兄   「…ちゃんと後始末はしとけよ?」

そう言って兄は部屋へ戻った。

まあこのハプニングは置いとくとして、ミキサーの結果どうなったか。

きっちりオレンジ色の汁になって出てきた。

12ccぐらい。

…野菜は果物とは違い、水分の含有量が比較的少ないことを念頭に入れるべきだった。

もったいないからカスも回収した。

…ちなみに、出来た汁は舐めなかった。怖かったから。



2. 鍋に牛乳、パプリカ、オレンジ、唐辛子、卵、ゆず、汁を入れて煮込む

ここはmk1と変わらない。当然mk1と同じ臭いがした。

もう助けて…。



3. 鮪を入れる

ここが最大の違いだ。

買ってきた鮪の切り身を手で引きむしり、過熱している鍋に入れた。

熱を受け、鮪が変色していき…

…あれ!?

まだゲル化材入れてないのに固まり始めた!!?

そうこうしている間にもどんどん固まっていく。

恐らくは、鮪の中にあった油分か何かが関係しているのだろうが…。

これがマグロか!?マグロ効果なのか!?

非常に興味深いが、研究はしたくない現象である。



4. 煮込みながらペクチン・ゼラチン・レモン汁・クエン酸を入れる

もはや意味のない行為な気がするが、特にペクチン入手には苦労したのだ。意地でも入れる。

すると再マグロ効果か、臭いが変化し始めたのだ。

今度は覚えのある臭い。だがやはりタチが悪い臭いである。

これ以上の加熱は(俺が)危険と判断し、火を止めた。





完成…というか、臨界寸前で中断したと言うべきか。

兎に角できたという事にしておく。

命名プロト謎ジャムmk2





写真



写真はピンボケの所為で、一見卵料理にも見えるが

実際は相当にグロい。

これに加え、臭いが凄い。

どんな臭いか。

ゲロの臭いである。

『ゲロのような臭い』ではない。

ゲロの臭いなのである。

…塩酸を入れた覚えは無いぞ。俺は。

もうこの時点で捨てたいのだが、読者の皆様はそれを望んではいまい。

ありったけの勇気を振り絞り、スプーンに山盛り一杯すくう。

そして一気に口の中へ入れる!


















































あれ?






















































味がしない?









































全くしない。

食感はひたすら気持ち悪いが、味は全くないのだ。

もしかして、キワモノばかり入れたから味が相殺さ……


































れ………












































…………………









































読者の皆様。





これを読んでいる人の多くは、オチに『バスターワッフル』の時のような愉快なものを求めているでしょう。





今回それはありません。





何故かと申しますと…




























食べて数秒後、思考がシャットダウンされたからです。

感覚や記憶はあったが、思考は完全に停止していた。



…では、どんな状況だったのか?

まず、吐き気がした。
次に、背中から汗が吹き出た。
トドメに頭痛がした。

思い出すだけでも恐ろしい。

「どんな感覚なんだ」と疑問に思った人、恐らくこれに近い感覚を体験した事がある筈だ。



どんな時か?





伝染病にかかった時の感覚である。

決してオーバーではない。

一瞬は確実にその感覚であった。

そしてその後に残る、mk1の時に体験したもったり感の強化版。

中和の為にコーラを一気飲みしてもまだ残っていた。

その夜はマトモに眠れなかった…。

(プロト謎ジャムmk2は、全てコンポストにブチ込みました)





謎ジャム。

それは未知の領域である。

1人の男が命を懸けても、その片鱗しか知る事は出来なかった。

経験者として断言しよう。

あれは食べ物ではない。

と言うか、存在してはいけない。

中毒性化学兵器の代表格である、バトリンXって多分あんな感じだろう。本当にそう思った。

表現力に欠けた俺ではこの恐ろしさを伝える事は難しい。

だが敢えて味を表現しろ、と言われれば、こう答える。









『まろやかなヘドロの味』



謎ジャム。

それは核兵器と双璧をなす、人類最大の汚点である…。











結論

謎ジャムには手を出すな。



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