フリーダムガンダムを作ろう!





「21世紀のガンダム」などと大上段なキャッチフレーズで開始された『ガンダムSEED』とその続編『ガンダムSEED DESTINY』。

内容云々に関しての言及は他所に任せるが、両作品を通じて最も人気のある機体は間違いなくフリーダムガンダムであろう。

特に『DESTINY』でデタラメな大立ち回りを演じてから、全国の模型点ではプラモデル(特に1/100)が品薄状態になってしまった。

そんなフリーダムを作ろうという企画な訳だが、なにもプラモデルを作りこんでみようとかそういう類の企画ではない。

段ボールで着ぐるみガンダムを作ろうって話である。





……とは言うものの、実は去年の時点で作っちゃったのだ。

作りはしたのだが。けっこうひどい出来となった。


(フリーダム第一号)

今回は去年の反省点も踏まえて、より完成度の高い1/11スケールフリーダムを作ろうと思う。

前回の反省点は以下の4つ。


・設計図を作らなかった(全て場当たりで済ませた)

・予算が足りなかった

・制作スケジュールがデタラメだった

・根本的に技術力が不足していた



……よくもまぁ、こんな状況でまがりなりにも完成できたものだと我ながら感心。金も力も時間も無いって敗北因子まみれですよ。





1.設計図作り

ともかく先ずはここから。1/144HGスケールのプロポーションを基準に、人間の体格に合わせて設計。

(1目盛り=1cmで設計)


無論この設計図をキッチリ描けば描くほど、後の作業が楽になる。

しかし当方は怠け癖があるので、ある程度メドが立った時点で設計を終えてしまうのであった。

「実作業で苦労するのが楽しい」という酔狂人以外はマネしちゃいけないぞっ。




2.段ボールで形を作る


段ボールの利点は語るまでもないが、一応列挙すれば

・基本的にタダ(スーパーやコンビニ等に掃いて捨てるほどある)
・軽い
・丈夫
・加工が楽

といった所であろう。

設計図を元に立体に起こし、内側から両面テープやガムテープで止めて固定。やっぱり段ボールとガムテープのコンビは窮極。

この際ガムテープの貼り付け面積は、強度を確保しつつも最小限にとどめるのがポイントである。




3.補強する

作ったパーツの継ぎ目や切り口を、クラフトテープで覆う。

非常に面倒な作業だが、これをやると強度が段違いになる。

この際注意が必要なのは「クラフトテープはガムテープの上にはくっつかない」という点。ガムテープの貼り付け面積を最小限にするのはこの為である。

布ガムテープの上ならくっつくのかも知れないが、やった事ないのでよく分からん。


(ガンダムの色を考慮し、クラフトテープの色は白で)


そして更に強度を上げるため、金属の補強パーツをつける。ホームセンターで一番安いやつを購入。


(負担の大きい胴体や肩パーツ等に使用)




4.塗装する

一番塗り面積の大きい白はペイント剤を使用し、他の色は色テープを貼り付けて着色。

色テープだと継ぎ目などのせいで見栄えは多少悪くなるが、天候や乾燥時間を気にしなくて済むので使い勝手が良いのだ。

決して「缶スプレーで塗装しようとしたらテープが塗料をはじいてしまった為、苦しまぎれに急遽変更した」などという訳ではない。

……信じてませんね?ひとの言うことはちゃんと信じなさい。

あ、でも細●数子の言う事は信じなくてもいいと思います。





―――そんなこんなで作業人員1名、制作期間3週間の突貫工事の末に完成したフリーダム。

各パーツごとに紹介する。



頭部
第一号のものを流用し、各部の簡単な補修のみを行う。去年これを作るだけで半月かかってしまったから、新規に作る余裕なんざないス。

(目は黄色のセロファンなので、ちゃんと見える)


ちなみに制作過程はこんな感じ。





胴体
とかく負担のかかる部位なので、強度を最優先にして制作した。その割には全パーツ中もっとも優れたプロポーションだったり。不思議だ。


装着方法は第一号と同じ方式。当時は苦肉の策だったが、なかなかどうして合理的。

(側面から体を入れ、フタをするようにして側面パーツをはめ込む)

あと1日あればコックピット可動ギミックがつけられたかも知れない。つけたからと言ってどうという訳でもないが。



腰部
ベルトにマジックテープでパーツをくっつける方式を採用。

あらゆる面で苦労したのが腰部レールガン。手前の技術力もわきまえず、展開可能にしてしまったもんだからエライ目に遭った。


(ちょうつがいとマジックテープを併用。後ろの部分の可動はムリでした)



腕部
比較的ラクだった。比較的だけど。

(手はゴム手袋の上に段ボールをくっつけた)



脚部
苦労。特に太もも。段ボールにとって“丸み”は鬼門なのである。


妥協の結果こんな形に。本来なら設計の時点で考えるべきだったのだが。




もっと苦労。一番負担のかかる部位なのである。スリッパをベースに、周りを段ボールで覆うかたちで制作。



足の裏は玄関用の靴拭きマットでコーティング。靴拭きマットだと逆に汚れを集めてしまうじゃないかっ……!と気づいたのは接着10分後であった。



翼部
死ぬほど苦労。飛べない翼に意味は無くても、金と手間はかかるんじゃーー!!!

重さを考慮し、ここだけスチロールを使用。段ボールだと重すぎる、というのが一号機の反省点だったのです。

当初はハイマットモード(翼展開ギミック)を搭載する予定だったが、時間・予算・技術のジェットストリームアタックの前に撃沈。

代わりにキャノン砲だけは展開可能にしてみた。



可動および取り回しを容易にする為、マジックテープで接続。







某大学の学祭へゲリラ的に突撃してみました。


ガンダム好きだけが注目してくるかと思えば、さにあらず。

老若男女を問わず「あ、ガンダムだ」「ガンダムだ!」と大好評であった。

写真は撮られるわ、握手は求められるわ、屋台から差し入れを貰えるわ……。たぶん個人レベルでは最も注目を集めていたと思う。

他にもメイドっぽい格好の人とか着ぐるみっぽいのを着ている人もいたが、インパクトが段違いだったらしい。

ただ皆“ガンダム”だとは分かってくれたが、“フリーダム”だと言ってくれる人はほとんどいなかったのが残念であった。






―――さて、主材料である段ボールはタダで入手できたものの、制作費が0円だったという訳ではない。



・クラフトテープ(白)×2            608円
・クラフトテープ(青)               304円
・両面テープ(強粘着タイプ)×4      1176円
・カラー布テープ(黒)              348円
・カラー布テープ(グレー)           348円
・ビニールテープ(黒)               28円
・ビニールテープ(赤)               28円
・ビニールテープ(黄)               28円
・セメダインスーパーX             417円
・マジックテープ×2               372円
・マジックテープ(強粘着タイプ)×5    1300円
・発泡スチロールパネル(B1サイズ・青) 1249円
・中折れ金具×16               608円
・ジョイント金具×2               420円
・取付金具                    417円
・蝶番                        95円
・マジックインキ(青)              102円
・ゴム手袋                    198円
・プラスチック製帽子              105円
・四つ切画用紙                 126円
・ベルト                      105円
・スリッパ                     105円
・玄関用靴拭きマット              105円
・セロファン(黄)                 105円
・水性塗料(白)                 609円
――――――――――――――――――――――――

合計                       9306円



……この費用はかなり高く感じるが、これは“フリーダムガンダム”を制作した故の費用であり

普通にRX−78のガンダムを作っていれば多分5000円台に収まっていただろう。







―――散々苦労した当方が言っても説得力は無いかも知れないが、段ボールガンダムは見た目ほど制作は難しくない。

5000円強程度の予算と多少の根気、あと「工作はまぁ得意かな」程度の技術があれば1人でもなんとかなる。

「自分でも作ってみよう」と思った人の為にいくつかアドバイスを。



1.考えなしに制作MSを選ばない
何度も言うが当方はフリーダムを作った所為でめちゃめちゃ苦労した。

翼とか固定武装とか、そういう余計なものがあまりついていないMSを作るべきである。

一般にもわかりやすいガンダムタイプ、加えて言えば曲線部が少ない形状の方がいい。

最もシンプルなガンダムが最適だろう。

次点はνガンダム・ストライクガンダム・ウイングガンダムといった所か。
(ウイングは翼があるため制作が難しいが、女性受けが狙える)

NT1アレックス・陸戦型ガンダム・GP01なども簡単だが、知名度が低い為あまりオススメはできない。第一ガンダムと大差ないし。



2.設計図はキッチリ書く
つまる所、作品の完成度は「どれだけ設計図を忠実に再現できるか」にかかっている。

ガンダムの設定画をそのまま使うのではなく、人間の等身に合わせる必要があるのがポイント。

段ボールの厚みまで考慮に入れて設計図を書ければ理想だが、そこまでやる必要はない。

設計図からの誤差も±3cm程度ならなんとでも誤魔化せるから、あまり神経質にならなくとも大丈夫だと思う。



3.細部にこだわらない
段ボールガンダムは最初のインパクトが大事なので、細部よりも全体のプロポーションを優先させるべきである。

細部はこだわり出すとキリがない。全体が一通りできてから、時間および予算と相談して細部を制作した方が良い。



4.中の人のことも考える
プロポーションにこだわり過ぎると、着る人の事をないがしろにしてしまいがちになる。

当方も着ている最中、胴体の首もとが喉に直接当たり、常に軽い絞首状態であった。痛いし苦しかった。

動きやすいように関節部分は余裕を持って作り、放熱の為の隙間もちゃんと用意しておきたい。

視界も広めに取れるようにしよう。



5.可動ギミックは切り捨てる
変形や翼の展開などは、再現しようとすると多大な技術や費用を必要とし、強度も落ちる。

加えて言えば、段ボールガンダムを着ている最中はいちいち可動させている余裕がない。

可動ギミックは諦める方が無難であろう。



6.やっぱりサポート役は必要
制作は1人でできるが、それを着るのは流石に1人では厳しい。

更に着た状態で歩き回るとなると、パーツがズレたり取れたりは日常茶飯事。不測の事態に備えて常に寄り添うサポート役がどうしても必要になる。







イベントで目立ちたいとか思ってる貴方、段ボールガンダムで一花咲かせてみては如何だろうか?





結論!
とりあえず1人でやるもんじゃない。




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